阿闍世コンプレックスの妥当性をなぜ仏典に求めるの?|心理セラピーの現場から(506)

心理トラブルの深い部分を探ると、母親から出生を本当には歓迎されないのに産まれてきてしまった、という事情が隠れていることが多々あります。そのようにして生まれてきた人が抱える葛藤は、阿闍世コンプレックスと呼ばれます。この名称(名前)の由来となった阿闍世王の物語が、仏典にあります。しかし、阿闍世王の物語を載せる仏典は複数あり、物語の内容も少しずつ違うようです。そして必ずしも、阿闍世王の物語の中に、阿闍世コンプレックスと呼ばれるコンプレックスが正確に描かれていないのではと、妥当性が議論されます(例えば「阿闍世コンプレックス」小此木啓吾 創元社)。まるで、正確に描かれていないと、阿闍世コンプレックスという概念そのものが妥当でなくなるような勢いで、議論されます。
そのような議論は、心理セラピーの現場からいうと、無意味な感じがします。阿闍世コンプレックスは、あるコンプレックスの名称にしかすぎません。名前自体は何でもいいはずです。ABCコンプレックスでも、胎児コンプレックスでも、構わないはずです。母親から出生を歓迎されないのに産まれてきてしまったことが原因となって、深刻な葛藤が、実際に多くの人に共通して存在するのは事実です。多くの共通した事実があるので、この共通性に対して、一つ名称を付けましょうというのは、便宜上、当然のことです。
また名称を離れて、阿闍世コンプレックスという概念そのものの妥当性は、心理セラピーの現場で議論されるべきでしょう。そもそも仏典は、お釈迦様が亡くなって、かなり時代が下って伝承により書かれたものだそうで、しかも、その書かれたものも、さらに時代が下り人々に受け入れやすいように色々に書き直されていることが予想されるのですから、仏典の事実内容の正確さを云々するのが無理ではないでしょうか。

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