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皆殺しの別の人格|原因は母からの殺意|再び「思い出せない記憶がある」に復帰|セラピーの現場(590)

私には、どうしても、すぐには思い出せない記憶がある。自分自身が持っている殺意に関係する記憶だ。思い出せないのは、どうやら、その記憶を受け持っている別の人格があるためのようだ。その人格をに出てきてもらって、なんとかセラピーを前進させたい。ところが、それがうまくいかない。
その人格が出てこない理由を探った。その人格は宇宙全体を破壊したいというような皆殺しの殺意を持っており、出てくると、周りや社会に迷惑をかけるから、と思った。でも本当の理由とは違うようだ。
本当の理由はこうだ。その人格が出てくると、その人格が持っている記憶を、少なくとも少しは私(現在の私)が引き受けなければならなくなり、その記憶の重さに耐えられないからだ。つまり、その人格が持つ殺意に関する記憶1を表に出すと、そのような殺意を抱くようになった原因となるできごとの記憶2も引きずられて表に出てしまう。母から殺意を抱かれたというできごとだ。こう思うことも、ほとんど一瞬で、時間がたつと、再び元に戻り、「すぐには思い出せない記憶がある」状態に復帰する。

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なぜその記憶を思い出したくなかったのか|セラピーの現場で(559)

失われた記憶を思い出すことには2つの価値があるように思われます。1つはその記憶そのものの重要性です。つまり、その記憶を知ることで、なぜ、その記憶を思い出したくなかったのかが理解できるようになります。自分の隠れた気持ちを知ることができます。この意味から、催眠下で思い出した(純粋に自分の力で思い出したことにはならないと思われますが)記憶にも、価値があると思われます。
もう一つは自分で思い出せる力です。つまり、記憶を失うことで不都合なことから目をそらしてバラバラになろうとする気持ちよりも、記憶や気持ちを統合して健康に生きていこうとする力を強くすることができるという意味があります。この意味から、同じ記憶を思い出しては忘れ又思い出すという繰り返し(何度も忘れる自分自身にうんざりする)、あるいは、覚えていていいはずの記憶が出てこずに苦労すること(思い出せない自分にうんざりする)にも、徐々に、思い出せる力を強くできるという価値があると思われます。

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すらすらと思い出せる記憶は不具合の原因にはなっていない|セラピーの現場から(541)

 

自分の成長の手掛かりとなる辛い記憶は、時間をさかのぼるほど、重要性が増すようです。現在の悩みは、職場のこと、結婚相手のこと、自分の子供のこと、かもしれません。しかし、いろいろなケースの体験から見ますと、悩みを認識できるということは、その時代には、隠された記憶はない、ということになります。認識できるということは、心の中で、既に折り合いがついていて、そのため、心の不具合の原因にはなっていない、ということが言えそうです。

 ですから、手掛かりは、もっと昔になります。結婚前の家族のこと、青年期、少年期をすらすらと思いだせるのであれば、その部分にも隠された記憶はないといえます。いよいよ幼児期、乳児期を探ることになります。ところが人生の初期の記憶はもともと、はっきりしません。そこで、ベビーブレスが役に立ちます。多くの場合、記憶の断片が手に入ります。その断片を組合せ、幼児期、乳児期を少しずつ知ることができます。組み合わせる上で、カウンセリングが役に立ちます。隠された辛い記憶がよみがえります。その過程では、辛ければ辛いほどよみがえりにくいようです。抵抗と呼ばれるものです。よみがえった辛い記憶を認めるのに数週間、数か月かかることもあります。空いた時間も自宅で想い出すように瞑想を勧めます。カウンセリングの記録も渡し、読んでもらいます。その間にじわじわと成長が進みます。まるで心の漢方薬。苦いけれど効く。人によっては、次に会ったときに、雰囲気や表情まで変わり、皆が驚くことがあります。

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426 宇宙背景放射?

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アコールのセミナーのセッションでは、記憶が焦点になることが多い。遠い昔の記憶、特に胎児期や乳幼児期の記憶。昔のことなのでなかなか思い出せない?。だいたい乳幼児期以前の記憶が残っているはずがない?。
そうではない。記憶と言っても、はっきりした光景をともなう記憶や言葉表現できる記憶だけを言うのではない。映像はないし、はっきりとは説明できない場合も、漠然としているが、強く残っている。
昔の重要な記憶の影響は、実は、今ひしひしと感じとられている。昔、辛い思いをして乗り切った(今生きている)のであれば、今もその辛い感じは強く残っている。乗り切るために得た自分の心の傾向をはっきりと感じているはずである。そうでなければ苦しまない。
そのことを感じる度に思い出す例がある。宇宙背景放射(コスミック・バックグラウンド・ラディエーション:cosmic background radiation:CBR)と呼ばれる現象。宇宙はビッグバンから誕生したと言われている。子供でも知っている。ところが誰もビッグバンを見た人はいない。しかし宇宙全体から、夜空全体から、均一で弱い謎の電波(ラディエーション:放射)が今もやってくる。宇宙の一番深いところからやってくる。ビッグバンの名残である。証拠である。その電波は今も確かにはっきり受信され、宇宙の誕生(ビッグバン)を強く裏付ける。

言ってみれば、私たちの胎児期や乳幼児期のCBRは、認識しにくい辛い思いや心の傾向である。

 

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398 澄んだ川のハヤの群れ

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自分自身を理解し始める上でとても役に立った記憶映像がある。その一つ。
私の母は、彼女自身の理由から、幼かった私の育児を放棄した。そのことを小さな私はとうに知っていた。母の実家である山の中の農家に預けられた。母は、週に一度水曜日に、私の着替えなどを持ってバスに乗り、その農家に訪ねてくると約束した。約束は守られなかった。
私は毎日 1人でバス停にやってきてバスを待った。バスの本数は少なかった。一日中待った。すぐ横に山間(やまあい)の川があった。川の水は美しく澄んでいてハヤ(鮠)の群れがいた。橋の上から大きな石を落して遊んだ。ドボンと音がしてすぐに澄んで、またハヤが群れた。バスは遠くから山に向かって川沿いを上り、そのバス停に止まって何人かの乗客を降ろした。その後、さらに上流に向かい、ほどなく終点で折り返して、戻ってくる。戻って道の反対側のバス停に止まり、また、遠く下流に帰っていく。
さて、上ってきたバスがバス停に止まるとき、私は、川のそばにあった雑貨店の陰に隠れた。まるでストーカーだった。降りた乗客の中に母はいない。ほとんど探さなかった。バスは、エンジン音が細く微(かす)かになっていき完全には消えないうちに、また大きなエンジン音になり戻ってきて、反対側のバス停に止まる。私は、それまでに道を横切り(このときバスに轢(ひ)かれかかったことがある)、反対側にある農業用水が流れているコンクリート製の樋(とい)の上に登る。登って、母がいるはずのないバスの中を、舐(な)めるように見た。まるで、このときとばかりに盗むように見た。とろけるように恋しい気持ち。誰もいないバスの床の、油でくすむ床板を、今も鮮明に覚えている。
母への恋しい気持ちは、すでに実際の母を離れており、気持ちだけが純粋に存在した。恋しい気持ちが、実際の母親像によって邪魔されることを、知らないうちに避けていた。純粋に恋しい気持ちは、透明で広々としていた。

 

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392 思い出していた内容は正確だった

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小さい頃につらい体験があり、その体験を忘れることで対応した。ところがあまりにつらい体験だったらしく、<忘れる>という働きが現在でも日常的に強く生きているため、トラブルになっている。
そこで、思い出すトレーニングを続けている。ある程度は思い出せた。赤ん坊のころ母親が自分の口をふさいだ。その感覚を繰り返し思い出している。思い出す事はあるが、しかし、それが事実なのか、想像したことなのかよくわからない、自信がない。母親も全く記憶がない。
別のことで母親との関係を思い出した事件がある。本人が小さいときに、悪気なく、よそ様の育てている植物の葉っぱをちぎった。それを母親が怒って押し入れ閉じ込めた。
その時の押し入れに閉じ込められた部分のことを思い出した。大きくて長い階段。そこをお母さんが追いかけてくる。すごく大きなお母さん。逃げて捕まって背負われて持って行かれて、真っ暗な押入れに入れられた。出して出してと泣いていて、うるさいと言われた。押入れの内側を叩いても叩いても助けてくれない。
母親に聞いたら事実から、思い出していた内容が、正確だったことがわかった。そこで彼女は自信を深めた。
この自信からか、母が口を塞いだ理由が明快になってきた。母親は赤ん坊が泣いて困った。母親自身も苦しい人生を生きてきて余裕がなかった。泣く赤ん坊に手を焼いた。スピーカーから流れる音楽の大きな音を消すように、音楽機器のスイッチを切るように、私の口に手を当てた。そのことが分かった。そこには母親への深い理解があった。母親のその時の状況を理解した深い洞察があった。そこには母親を責める気持ちもない。事実を歪めようとするニュアンスもない。自分の傷から逃げる気持ちがない。見事な記憶の回復だった。

 

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243  「私は何者なのか」|記憶が弱いと同一性が弱く頼りない

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テレビのある番組を見た。「私は何者なのか」モーガンフリーマン<時空を超えて>。
3歳児の実験。記憶と自我の関係が説明される。クッキーの箱の中身を当ててもらう。中身を見る前は箱のクッキーの図柄を見て「クッキー」と答える。実際には中身はマーカー(ペン)。中身を見た後に、もう一度、何が入っていると思ったかと聞く。答えは「マーカー」。
解釈はいろいろ。①前の答えを覚えていない。②前の答えが間違っていたと認識できない。③二つの答えをした自分が同一人物とは認識していない。

実際にはこれらの解釈はつながっている。自分が同一人物とは認識できないので、前の答えが間違っていたとの認識はなく、嘘をついているわけでもなく、(同一人物とすれば)前の答えを覚えていないように見える。自我の未発達。
4歳児になると、大人と同じような答えになる。前の答えを覚えていて、前の答えが間違っていたと認識できる。二つの答えをした自分は同一人物であると認識している。記憶を手に入れる。つまり自分の同一性を手に入れる。
番組の結論としては、記憶が弱いと同一性が弱く、自分が何者だろうかという頼りない感覚になってしまう、ということ。
実際のカウンセリングでは、このことが、大人の心の奥でも起きていることがある。

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207 「何が」は抜け落ちている|忘れてしまった古い記憶

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「何が」は抜け落ちている
私たちは気が付かない。忘れてしまった古い記憶が、私たちを苦しめ、悩ませていることを。私たちにわかるのは、後の「苦しめられる」「悩ませられる」感覚だけです。前の「何が」は抜け落ちています。多くの人は、それを、他人のせいにします。恋人や友人や上司や社会や仕事や・・・。でも、それはどこか的外れであることを、私たちは感じています。
その古い記憶は、私たちによって、忘れ去られ、無視されます。思い出したら辛いからです。幼いあなたにとって生きられないほど辛いことだったからです。しかし、その記憶は、あなたを苦しめ、重大な影響を与えています。あなたに思い出して欲しいからです。その記憶はあなた自身だからです。その狭間で、病気にさえなります。
アコールでは、セッションを通じて、あなたが気が付かなかった最も古い傷つき体験を何度も思い出して表現するようにします。そうして初めて本当の自分を知ることができ、認めることができ、生きることができます。他人のことも分かるようになります。

 

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192 生まれてすぐの自分と他の区別|既にある

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ベビーブレスでは胎児期の記憶が出ることがある。というより、それが普通。精神分析の学者の世界では、生まれてすぐでは、自分と他(主に母親)の区別がないとするのが主流だったので、堂々と「胎児期の記憶」などといえない雰囲気だった。しかし最近は、生まれてすぐでも自分と他の区別が既にあるとするのが勢いを得ているらしい。経験上、当然と思う。

 

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20 手掛かりは、もっと昔

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研修施設bebeハウス近くの高台からの絶景-富士山と山中湖

自分の成長の手掛かりとなる辛い記憶は、時間をさかのぼるほど、重要性が増す。現在の悩みは、職場のこと、結婚相手のこと、自分の子供のこと、かもしれない。しかし悩みを認識できるということは、その時代には、隠された記憶はない。手掛かりは、もっと昔。結婚前の家族のこと、青年期、少年期をすらすらと思いだせるのであれば、その部分にも隠された記憶はない。いよいよ幼児期、乳児期を探ることになる。ところが人生の初期の記憶はもともと、はっきりしない。そこで、ベビーブレスが役に立つ。多くの場合、記憶の断片が手に入る。その断片を組合せ、幼児期、乳児期を少しずつ知ることができる。カウンセリングが役に立つ。隠された辛い記憶がよみがえる。辛ければ辛いほどよみがえりにくい。よみがえった辛い記憶を認めるのに数週間、数か月かかる。その間にじわじわと成長が進む。まるで心の漢方薬。苦いけれど効く。人によっては、次に会ったときに、雰囲気や表情まで変わり、皆が驚くことがある。

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15 子供に与えた深い傷を見、どうしようと悩む

手入れしないのに毎年咲いてくれる

手入れしないのに毎年咲いてくれる蝋梅

忘れていた辛い記憶が蘇った後で、それまで気がつかなかった自分の心の深い傷を見る。自分が子供に与えた深い傷を見る。どうしたら、いいのかと悩む。しかし、そのことがわかっているだけでも、子供はとても楽になる。周りの人も楽になる。自分も変わり始める。周りも少しずつ変わり始める。

 

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