女性として被害者と加害者の両面性&傷と女神の両面性|セラピーの現場から(662)
<被害者と加害者の両面性>
私達の心の傷の元を探っていくと、一番深いところでは、自分の母親にたどり着くようです。母親から十分な愛情を貰えなかったことが心の傷の根源的な原因のようです。ところが、その母親も、なぜ自分の子供に十分な愛情を与えきれなかったのかを探ると、母親自身の心の傷が見つかります。そして、母親もまた、自身の母親すなわち祖母から十分な愛情がもらえなかったことが分かってきます。十分な愛情を貰えなかったので、十分な愛情を与えられなかったという事情が見えてきます。原戸籍などを検討すると、祖母もまた、曽祖母から十分な愛情をもれえなかったであろう事情がうかがえることが多くあります。そのようにして、ある女性が自分の心の傷を見るときに、傷は上流側の女性群、すなわち、母←祖母←曾祖母から伝わってやってきており、彼女は被害者であると言えるでしょう。
ところが、その下流の女性群(孫娘→娘)から見ると彼女こそが、心の傷の犯人であり、被害の元凶であるということになりがちです。心の傷という負の側面を見るときに、女性はこのように被害者と加害者の両面を受け持つ事になります。
<傷と女神の両面性>
心の傷という負の側面とは反対に、もともと備わった豊かな人間性などの正の側面を見るときには、母や祖母は豊かさの源泉であり、子供たちにとって心の女神となるようです。心の傷が少ない、あるいは無いということは、そのまま豊かな人間性につながります。傷の無い人間性は、豊かさそのものといえるからです。そもそも人間は、そういうものだからです。
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