子供への加害を詫びれない|母親からの被害の傷が疼く| セラピーの現場(593)

本当は知りたくなかった。少しずつ納得することがある。母親が私の存在を否定していた。否定されて大きくなった私は、まるで仕返しのように、私自身の子供を否定した。子供は無力で、それでも私にすがり付こうとした。私は許さなかった。やがて、子供に問題が起きてきた。私の言うことを聞かない。学校に行かない。子供にとって母である私は加害者だ。でも、その前に、私は私の母親からの被害者だ。被害としての傷が疼いて私の怒りが渦巻き、加害を詫びることはできない。
私の正直な気持ちは、この怒りだ。どうしようもない。この傷がいやされる前に誰かに詫びることはできない。そんなことをしたらウソになる。知る前はウソの人生だった。知った後に、またウソに身をゆだねるつもりはない。子供への愛情なしということになるが、それでもウソよりは増しだ。

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