328 子供から恨まれる原因に心当たりがないなら・・

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乳幼児は、良いおっぱいと悪いおっぱいというように、母親を分割して認識している。たとえ健康な母親に対しても。そして自分の気持ちも分割されている。健康な成育歴を持てば、これらはやがて統合される。健康でない成育歴しか手にいらない時には、これらの分割が残ったままで大人になる。
そういう大人になってしまって自分の子供を持つ。一人の子供を、良い子供と悪い子供に分割して認識してしまう。親の(自分の)いうことを聞く子供はいい子供。聞かない子供は悪い子供。その分割を、自分の中の分割された気持ちが促進する。猫っかわいがりと虐待があたかも他人のように自分の中に併存する。あのかわいい子供を自分はなぜ憎むのかという葛藤が少ない。
そのような大人(母親)に育てられる乳幼児は、よりはっきりと、母親を分割して認識することになる。母親は実際に分割された気持ちを持っているから。統合の可能性もより少なくなる。分割の世代間伝達で、分割はより強化される。伝達されながら強化されていく。
私たちがカウンセリングで行う重要なことの一つが、統合の作業。分割(分裂や解離)を意識化し、その分割が起きている理由を理解し、分割が起きた過程を表現する。これらの作業で統合が起きる。
子供がかわいいけれど憎たらしいと同時に思えるのは統合が取れている。しかしかわいかったことだけが記憶にあり、今は子供との不仲があって子供が自分(親の私)を恨んでいて、自分には恨まれる原因に全く心当たりがないような場合には、実は、子供を憎たらしいと思いながら子育てをしたこともあるという事実が、記憶から無くなっているのかもしれない。もしそうなら、分割(分裂や解離)が隠れているのかもしれない。

 

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