21 悲しみの厚さ
悲しみの厚さ
自分を知る手掛かりになる辛い記憶は通常、幼児期、乳児期の人生の初期にある。辛いので隠されている。もともと人生初期の、古い記憶はぼんやりしている。余計、よみがえり難い。ところが、それよりも新しい青年期、少年期の記憶さえも喪失している場合がある。幼児期、乳児期の記憶はさらにその奥に隠れている。より難しい。時間がかかる。この喪失の厚さは、悲しみの厚さ。悲しすぎて本人は悲しみを認識できない。しかし、記憶がよみがえることによる成長の幅は、その分、大きい。
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