役に立たなければいらない2/3|役に立っても立たなくても最初からいらない|アコールセラピーの現場から(712)

(続き)2/3


絵4
<生まれて初めて怒りを出した><早く消えてしまいたい自分がいたのだろう>
<H>
彼女の不全感(絵1)がどこからくるのかという謎解きは、母親との関係で進みます(絵2、絵3)が、さらに、母親を含む家族との関係で、幅広く進んでいきます(絵4)。
<W>
家族との関係で母親を理解するという側面もあります。
<H>
この絵4では、幼い彼女が、家の階段の途中に座り込んで泣いています。一階には祖母と父が生活し、二階には母と妹が生活します。そして家族は一階と二階に分かれて確執があり、その中心は、母親とおばあちゃんの確執です。その確執の調整役として彼女は苦しみます。
<W>
一階にいる6つの顔に比べ、二階にいる二つの顔は、悲しそうです。彼女も泣いています。
<H>
彼女は言います。「小さい頃(小学校低学年)親戚が集まる時(お正月など)父が長男なので複数の弟(叔父さん達)が家族を連れて来た。私達、母と妹は二階に住んでいた。一階でみんな食べているのを階段のところから私は見ていた。母は二階にいるし、私が一階には行っては行けない雰囲気だった。いつも、誰かが来ると母は、表には出なかった。祖母は表で母の文句を言っていた。」
<W>
一階に行けないけれど二階にも居ない。階段の途中です。調整役だったんですね。
<H>
そんな状況下で、お母さんは、何とか彼女を利用して父の家の実質的な一員として迎え入れられたかった。
彼女は言う。彼女の不全感の原因は「父でも祖母でもなく、母だなと思う。母は生きるために私を産んだなと思う。」彼女が生まれる前、母親は父親と「2,3年別居していたよう。でもどうしてもお父さんのところに戻りたくて、母親の親に頭を下げてもらって父方の家に戻してもらった。ちょっとして生まれたのが私だった。母は自分が生きるために産んだのではないかと・・・考えたら涙が止まらない。何か繋がる感じだった。・・・いつも子供の頃思ったのは母親にしがみ付かれる思いだった。(そのころ)子供らしくいられないのは、(不自然にニコニコと)笑顔でいたのは、「お母さん大丈夫かな」と思っていたから。(お母さんを)助けないといけないと思う。」
<W>
命をかけての調整役を強いられた・・・。
<H>
母親にしてみれば、あなたの家の子供(彼女)を産んだので、私をあなたの家の一員にしてください、ということです。
彼女は続けます。「(大人になった現在の)仕事も「責任感」とか、「どうにかしなくちゃ」、「見てみぬ振りは出来ぬ」というようなのがあるが、それ(母親に対する気持ち)と繋がるのか。」と彼女は推測する。
<W>
「役に立たないならいらない」で仕事も頑張るということですね。辛いです。楽しくないですね。
<H>
このように謎解きが進んで、彼女は怒りを出せるようになった。「・・・ブレスをして、怒りを、多分生まれて初めてだと思うが出した。・・・・・・・(それ)から仕事が凄く楽になった。疲れてもよしやるか、となる。」
<W>
よかった!生まれて初めて・・・。乾杯!
<H>
こんな時はその夜などに乾杯しますね。
<W>
その時はどうでしたっけ?
<H>
実は私もあまり覚えていません。乾杯はしょっちゅうやってますから。(笑)
<W>
次、いきましょう。
<H>
怒りが出せるようになって、閉じ込めていた自分自身の気持ちに気が付くようになります。「お母さんに愛して欲しいというのを、子供の時に諦めている。無理だと。でも本当は求めていた。単純に抱きしめて、添い寝して欲しい。(でも母は)いない、(私を)見ていない、だから諦めた。怒りより、寂しさが今回出てきた。」
<W>
生まれて初めての怒りが出せて、生まれて初めて本当の「愛して欲しい」が出ます。
<H>
感激します。
彼女は言います。「発見って楽しい。自分を知っていくのは楽しい。今年の春は一番の春だった。桜がきれいだし緑が・・・と良い春が来た。こんな感覚始めてだなと。」
「子どもの時っていつも死んじゃうような不安があって生き急いでいるようなのがあった。(大人になっても)早く仕事で一人前になりたいとかだった(不自然に急いでいた)。本当は死にたいのかなと。早く消えてしまいたい自分がいたのだろう。」
<W>
そういうことなんですね。
<H>
彼女は、階段の途中(図4)は長いことかかって、ていねいにやりました。納得するまでやりました。それがよかったと思います。本人(彼女)が納得するまで。結果的に、進みが速かった。


絵5
<最初からいらない子:無条件の死>
<W>
いよいよ、です。
役に立たないならいらない(絵3)という「いらない」の意味は、母の殺意でした。つまり死でした。「役に立たないなら」という条件付きの死でした。その殺意は幼い彼女の中に取り込まれ「本当は死にたい」「早く消えてしまいたい」という自分を形成しました。それが、やがて絵5のように解明され、役に立っても立たなくても最初からいらない、無条件の死ということが分かって、大きな手がかり、大きな解放になりました。
<H>
はい。
この絵5に描かれているように、怨みツラミを繰り返す母に、彼女は何とか役に立って生きようとしがみついつきます。しかし、母は振り返らず、怒ったまま、まるで脚にとまったセミでも振り払うように、彼女を振り払います(絵の左下)。それは繰り返えされ、母は永遠に振り返らず(絵の中央)、彼女はどこまで行っても果てしなく一人ぼっちでした。そして彼女はついに悟ります。自分は、役に立っても立たなくても最初からいらない子だったのだ(絵の右上)。無条件の死がそこにありました。
このことは、大きな手掛かりになり、彼女が解放される転換点になりました。彼女は言う。それまで仕事で対面する「お客さんも怖かったけれど(無条件の死に気が付いたときから)(何かお客さんからのクレームがあったときなどの)「どうしよう、どうしよう」というのは無くなったかな。〈余裕が出てきたよね、何でそうなったのでしょうか〉役に立とうとしてもしなくても「いらない」だった。「最初からいらない」は大きい。「役に立つなら良いよ」にしがみ付いてきたから役に立とうとニコニコしていた。その呪縛が取れた。(本当の気持ちから)仕事したい自分もいるし、しなくてはいけないという呪縛が取れた感じ。「役に立たないとダメ、頑張らなくちゃダメ」が無くなった。」
<W>
無条件の死で解放されるというのは、ベビーブレスを体験した人に共有できる凄味です。
<H>
一生ものですね。こんなブログだけでではなく、人のお話だけではなく、ぜひ体験してほしいです。

絵6
<無条件の死から無条件の生へ>
<W>
彼女はさらに進みます。
<H>
この図6では、左端に彼女が描かれ、目の前には、果てしなく遠く暗黒の宇宙へ続く無条件の死があります。彼女は、小さな地球の上で大の字になって、暖かさを感じ、無条件の生命を感じています。
<W>
無条件の死を受け入れたら無条件の生命が待っていた・・。

<H>
彼女は言う。「「役に立たないならいらない(絵3)」「役に立つならいていいよ」と、長い間味わってきた。そこを味わっていた。ずっと寂しいもの。条件付きのもの。それが、無条件で「いらない」(絵5)。永遠に一人ぽっち。その気づきがこの前だったが、ずっと引き続いてきたものは死だった。・・・じっくり味わっていた。そうだよなー、と。
何もない感じで瞑想していたら、ちゃんと「生きる」がある。正反対のものだけど「生きる」がある。(今まで生きてきたのは)ずっと誤魔化しの生きるだった。死をないことにするために、生きていいために、誤魔化しの死、だった。長い間生きてきたけど、我慢してきたんだなと。瞑想の時、ポッとお腹の中に「生きる」があった。嫌な感じはしない。(そこを)もっと味わいたい。良いよねと。(今まで、見かけ上は)生を引き継いできたけど(実は)死を受け継いできた。」
<W>
無条件の生という開放を手に入れた・・・。無条件の死を受け入れたら無条件の生命が待っていた。生と死の統合の目覚め・・・。

(続く)

*******************

お試しの「無料カウンセリング」もあります

自社施設紹介