「自分を観たいわけではなくトラブルさえ解消できればいい」|「早く」と焦る気持ち|セラピーの現場(571)
登山ガイドが必ず教えてくれる山登りの秘訣があります。①できるだけ小さな歩幅で歩くこと。まるでお婆ちゃんのように。足元の小さな段差に合わせてひとつづつ丁寧に登ること。②焦らないこと。いつかは頂上に着くというつもりで、 1歩1歩ゆっくりと着実に、リラックスして楽しみながら登ること。会話を楽しみ、時々休憩し「あんな花が咲いている」、「深い呼吸は気持ちがいいなあ」と新鮮な空気を楽しみ、健康な汗を感じ、心地良さを感じること。登頂はオマケに過ぎないと感じること。
これらは二つはセラピーでも当てはまるように思われます。目的を早く達成しようと焦るとうまく行かないようです。途中では、今まではっきりとは認識しなかった自分が観えてきたりします。でも、頂上に着くこと(例えば人間関係トラブル解消という目的)だけを考えると、そんな自分(認識しなかった自分)を歓迎できません。「私はそんな自分を観たいわけではなくトラブルさえ解消できればいいのだから」というような気持ちにもなってしまいます。実は、観たくもない自分がトラブルの原因なのかもしれないのです。ついつい頂上は「まだですか」となってしまう。自分の観ることは苦しいので、早く頂上へ着こうとするようです。そうして、ついつい焦ってしまい、頂上を見て「まだあんなにある」と思ってしまう。もう無理だと思ってしまう。
セラピーにおいても、小さな気づきを「へえーこんな自分が隠れていたのか~」「なるほど、そうであれば納得できることが他にもある」「そういえば、あんなことも忘れていた、こんなことも思い出した」などと楽しむ(?)ことができれば、頂上は思いのほか早く来ることにもなります。
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