女性であることの不自由さを経済的な頑張りで挽回しようとする|祖母や母から連鎖の家系図|セラピーの現場で(549)
戸籍から家系図をつくってみることも自分自身を理解するのに役に立ちます。戸籍は、誕生、養子、結婚、死亡など各人の人生の節目の記録しか記載されていませんが、それでも丹念に見ていくことで、いろいろな事実が分かり、手掛かりになります。
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ある女性は仕事を男に負けないように「頑張る傾向」があり、その傾向を自分で気に入っていると同時に、どこか不自然であるとも感じ、自分自身の秘密を嗅ぎ取っていました。家系図をつくってみると、その女性の祖母は、結婚し、夫(祖父)と早くに死別し、結婚によって出産した子供たちを養子に出し、そして再婚し、再婚先で別の子供たちを出産した、という事実があります。また、その養子の中の一人である母は、養子先で、義理の兄弟(女性の父)と結婚した、という事実があります。
そして、その女性は、自分自身の「頑張る傾向」と、小さい頃から目(ま)の当たりにしてきた母の様子と、家系図から見える事実との3つを照らし合わせて、いろいろなことを理解することができます。祖母は、多分に時代的経済的な事情から女親一人では家族を維持できず、そのため子供を養子に出して手放さなければならず、家族の崩壊という寂しさ、女性であるがゆえの悔しさ、を味わったであろうことが理解されます。母は、家族崩壊のもと、女性であるがゆえに養子に出され、祖母が他家の人になってしまい実母として頼ることができず、自分もまた時代的経済的な事情から女性の自立を果たせず、養子先で結婚しなければならず、孤独、寂しさ、女性であるがゆえの不自由さを味わい、これらを何とか挽回(ばんかい)しようと経済的に懸命に頑張ったであろうことが理解されます。たとえば、母は亡くなる間際まで分かっていながら縫物(仕事)をしていました。
これらの手掛かりから、女性は自分自身にも、祖母や母から連鎖したであろう寂しさ、女性であるがゆえの不自由さを経済的な「頑張り」で挽回しようとする傾向を持っていること、を理解します。女性であるがゆえの不自由さとは、生きる上の不自由さとも、言えるように思えます。
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