食べていたら嬉しいな
アコールの研修施設の横の森の中に大きな栗の木がある。山栗。たくさん実(みの)っている。今年は栗の豊作らしい。拾いに行ってみた。栗の殻はたくさんあるのに、中身は少ない。かわりに獣の足跡。多分、猪(いのしし)。柔らかい泥の地面に、丸い浅い大きな穴があった。穴の縁にしゃがんでいると、ツンと獣の匂いがした。猪が寝て泥浴びしたのかもしれない。
猪より小さな獣が食べた形跡もあった。私たち人間が栗を拾う前に、獣たちが食事をした気配があった。獣たちの大切な餌場だ。そう思うと獣の気配を強く感じた。獣たちに悪いと思った。拾った栗をその場に置いてきた。木の枝で囲んで置いてきた。次に来てみて、食べていたら嬉しいな。
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