死ぬ事も生きる事も出来ず|封印してきた「大好き」から突破|セラピーの現場から(696)

<H>
今日はNさんの話を聞きたいと思う。大きな山を越えたように感じる。
Nさんは仕事では頑張れる人だ。成果もあげる。しかし、子育てや人間関係でトラブっていた。大事な場面ではシャッターを下ろして殻を閉じてしまう。シャッターの向こうから、ついついトゲトゲを出して攻撃的になってしまう。それで自分自身が困っていた。
<N>
はい。
<W>
大きな山を越え始めるきっかけが「大好き」と言う言葉だった。
<N>
そう。
私には、絶対に言ってはいけない言葉があった。 「大好き」と言う言葉だ。この言葉を自分の奥底に埋 め込んだ。その言葉とともに湧き出てくる自分の感情に、鍵をかけて、無いことにして、ずっと無視をしていた。
<H>
そう言えば、他人への「無視」もあなたのトゲトゲの主要な一部だった。
<W>
自分の感情への無視だけではなくて・・・。
<N>
「大好き」と反対に、「嫌い」や「イヤだ」などの否定的な言葉は言いやすかった。すぐに自分の感情と一緒になった。ずっとそちら側にいた。 反対側に。
<H>
なぜか。
<N>
甘えである「大好き」と言う感情を出してしまったら、 母親にうとましく思われ無視をされてほっとかれて 1人になってしまうからだ。1人になったら寂しくって生きていられない。
<W>
否定的な言葉はなじみやすかった・・?。「1人」を否定して頑張る。
<N>
私は生きるために、頑張らなければいけなかった。 私の頑張りは、ブレス(ベビーブレス以下同じ)の中で、這(は)ってでも前へ進むという匍匐(ほふく)前進と言うイメージで現れた。そのイメージの通り、とにかく頑張る、自分の居場所を作るために頑張る、自分 の存在を周りに認めさせるためにとにかく頑張る! そして頑張る。それでは足りず、1人で匍匐前進するだけでは足りず、誰かを背負てでも頑張る!そんなかんじだった。
<H>
他人にも?
<N>
甘えを出している人がいれば「甘ったれてんなよ」とイライラする。甘えたいのはこっちだよ!と怒る。
<W>
それだけ頑張っても満足できるというのではない?
<N>
そんなに頑張って匍匐前進していてもやりきっ た感じがしない。満足しない。足りない。で、逆にやればやるほど寂しくなってきていた。自分の存在を消 したくなる事も多々あった。
<H>
少しづつ種明かしができてきた頃だよね。なぜ、そんなに頑張らなければならないのか。
<N>
私はいらない子だった。母親の意識は子供(私)にはなかっ た。生まれる時も母親の意識は私にはなかった。私は、(ブレスの時のイメージとしては)お腹の中にいるときから必死にへその緒を握りしめ流れないようにしていた。頑張っていた。 まだ、出たくないのに出されてしまった。帝王切開だった。母親も麻酔をかけていて本当に意識がなかった。生まれたときに母から注がれる意識を私は、もらっていない。
<W>
意識がないというのが一番つらい。
<N>
そして私が 1 歳 9 ヵ月の時に弟が産まれた。母親の世話の意識は弟にいってしまった。 私が駄々をこねたり、甘えたりすると母親がもっと大変になってもっと見てもらえなくなる、無視をされるのが嫌で、なにも言わず、待っていた。
<H>
「無視」は母親からもらっているかも。一番つらいのが無視。
<N>
弟の世話を手伝い良い子にしていた。今でも母親は、「あんたは手のかからない子だった」といっている。 私は甘えたい気持ちをおしこめた。頑張ることで「いていいよ」と思ってもらえるようにした。もしも私が男だったら、もっと見てもらえる のではないかと思っていた。兄弟の方に母の意識がいっていたから。だから男ぽくふるまっていた。本当の男には、まけたくなかった。 何かに熱中するこで自分の居場所を確保したかった。
<W>
男のように頑張ってみとめてもらいたかった。
<N>
大人になり仕事を始めたら、そんな気持ちがもっと出てきた。とにかくがむしゃらに仕事をした。頑張った。甘えたい気持ちは無視をしたまま。 後輩ができると、その子達と上手くいかず、みんなやめ ていってしまった。続けられないのはその子の問題で、 自分とは関係ない、「なんでもっと頑張れないんだろう?」と思っていた。そうだから、人との関係が上手くいかなくなり悩み始めた。自分の気持ちを表現するのが難しかった。
<W>
そもそも自分の重要な気持ちの大好き、甘えを表現してはいけない。
<N>
その時の自分のイメージは「ミノムシ」だった。殻の 中に閉じこもり怖くって殻から出られない。外側は、 肩肘はって頑張っている。 この頃のブレスは、ずっと「寂しい、怖い」といいながら 泣いていた。どんどん泣いて、叫べるようになっていった。 ミノムシの中の気持ちを出せるようになってきた。 泣いて、寂しい怖いを続けていたら、自分の寂しさが少しずつわかってきてミノムシの殻を出てみよう。と思って殻を破った。殻の中では自由になってきたけど、まだ内側と外側の境界があった。
<H>
自分はミノムシだと分かったのが大きかった。
<N>
そのミノムシや境界は、シャッターとも言っていた。何かがあると、自分では怖くってシャッターを、ガラガラガラーとおろす。おろしているんだけれども、シャッターの外側にはトゲがあり、そのトゲで人をやっつけていた。
<H>
トゲが出ていることが分かったのも大きかった。
<N>
トゲで攻撃していた。当時は、攻撃をしているとは思っていなかった。でも、トゲは殺意だった。かなりの殺傷能力があるトゲだ。 当時は、攻撃されないように守っていると思っていた。攻撃を 受けそうになると頭が真っ白になっていた。何も浮かばない思考停止、フリーズしてしまう。これ以上内側に攻めこまれないようにシャッターをおろす。外側から何を言われてもシャッターは開かない。外側から見たら、トゲがあり、触れられない状態。シャッターを下ろしているときは、周りを無視する。強い強い無視 だ。「大好き」という甘えの感情を出させてないようにするために外側への強い攻撃をすることで自分の問題に入れない様にした。
<W>
「大好き」という甘えの感情が自分の中に存在することを、知られることの方が、辛い・・・。
<H>
だからトゲは、本当は好きな人にとりわけ鋭い!
<N>
私は、これだけ頑張っているのに認めてもらえずに寂しかった。寂しい自分をわかって欲しかった。認めて 欲しかった。自分の寂しさがわかってくれそうで認めてくれそうな人(上司)に依存した。甘えを出すのなら、まだ、かわいいが、私の場合、陰性転移の方が多かった。 攻撃した。自分だけ見ていて欲しかった。一番になりたかった。意識が向いているときは良いけど、向いていないときは、強い反発で無視をした。攻撃をした。「どこまでやれば、追い出されるのか?」とかけひきをしているかんじだった。強い強い無視を続けた。その強い無視は、上司だけでなく、上司の大切な人もやっつけた。職場から追い出した。そして自分の居場所を確保した。憎悪、嫉妬をすべてぶつけていた。
<W>
でも満足はしない。本命は・・。
<N>
外側に出しまくっていたけれども、本当にわかってほ しいのは母親だ。上司に、周りに出させてもらっていたから、本命の母親に向かえるようにもなった。母親を求めた。「こっち見て!」「私は、ここにいる」と求めても求めても(母が)「いない」のはもう知っている。だから、いつもここで諦める。求めても来ないなら、求めることをやめちゃおう、としてきた。実際の母を見たら(見込みがないので)、余計にあきらめる。「もうー、言わない。」求めない。というように 自分の気持ちを無視する。
<H>
「あきらめ」ていることに気が付いた・・。
<N>
そう。でも本当はメイプルシロップのようにベッタリと一 緒にいたい。一秒たりとも離れないようにベッタリと して離れたくない。洗い流してもまだ、ついているようなべったりとし感じ。ずっとずっと言いたかった。ずっとずっと思っていた。
<H>
その本音に気が付いたのが気持ちよさそうだったねえ。
<N>
私は、二度初期の流産をしている。ほしいと思いながら、本当の本当は、「欲しくなかった。」 妊娠がわかったのにお腹に力を入れたりした。実際は、殺したんだ。上の子で手一杯だった。
<W><H>
・・・・・・・。
<N>
理想の母親になりたかったんだ。やっぱり、ここでも凄く頑張っていた。 常に子供に意識を向けて子供の意見を尊重させて… そんな母親になりたかった。でもできなかった。 頑張って良い母親になろうとしていた。その頑張りで 子供の湿疹がひどかった。湿疹なんて無いことにしたかった。湿疹を見ると自分の頑張りが足りないのではないかと感じていた。周りからも、そういう目で見られているんじゃないかと感じていた。どんどん自信がなくなった。不安で薬をぬっていた。全然良くならなかった。
<W>
がんばってする子育ては無理があった・・・。
<N>
もともと、頑張る事事態は嫌いじゃな い。でも、人を背負って匍匐前進するほどの頑張りは、やりたくなかった。
<H>
「メイプルシロップ」や「やりたくなかった」の頃に転機がきた・・・。
<N>
分かってはいても、なかなか甘えや弱さが出せないでいた。あるグループカウンセリングのときに「もしも匍匐前進をしなかったら…」と言う問いを出された。応え切れないまま、後日、その事を瞑想していたら、何もできない頑張れない赤ちゃんの自分が布団の上にいた。いつもなら何も考えず自動スターターのように匍匐前進しているのに、できない。布団の上でじっと待っている。死ぬ事も出来ず動く(生きる)事も出来ずにいた。母も誰も助けに来ない。大泣きしたときに「大好き~」と言う言葉がでた。泣きじゃくって大好きをずっとずっと唱えていた。
<W>
大きな山・・。
<N>
その後、山中湖でも「大好き~」と言う寸劇をした。無意識の反撃があり、ゆり戻しで怪我、事故をおこした。どんなに「大好き」 を封印していたのか、鍵をかけて押し込んでいたのかが良くわかった。「大好き」と言うエネルギーを出せるようになって、言葉でも、行動でも自分が変わってきているのが分かった。
<W><H>
うんうん
<N>
ところが、それなのに、実際の母のまえに行くと、自分が閉じるのがわかる。
<W><H>
いよいよ本丸だ。
<N>
その後のブレスで、「大好き」と「怒り(殺意)」を同時に出せる様になった。それから「大好き」は自分のもの、と思えた。「思っていて良いんだ!」「私のものだ」と自信になっていった。
<W>
それまで「怒り(殺意)」は出しやすかった・・。
<H>
そう。「大好き」が後から追いかけてきた。
<N>
「大好き」と「怒り(殺意)」は別々のものだと思っていた。だけど、大好きが OK になればなるほど、セットで怒り、殺意が出てくる感じがある。両方あっていいんだと、思えるようになった。一緒じゃん。元々のエネルギーは。
それでも、それまでのクセが出る。頑張る方に引っ張られる。行ってしまう。甘えが薄れてくる。怒りや、殺意の方がおおくなる。でも、戻れる様になってきている。行き来自由になり たい。
<H>
愛憎の統合・・・。
<N>
「大好き」「殺意怒り」が足りていないと思っていたが、ブレスで父親、母親一人ずつちゃんと殺せた。そして両親一緒にギューッと抱き締めた。両親と私が川の字で寝ていた。小さい頃、兄弟がいたので両親を一人締めしたことはなかった。できた。嬉しかった。自分のものになった感じがした。
<W><H>
うんうん
<N>
子供とも一つになりたかった。
ブレスで子供を殺した。子供は私の殺意を知っていた。なかなかトドメをさせない私に子供は「バイバイ」と笑顔で言った。そして食べて自分のものにしたくなった。一口頭から食べた。飲み込む瞬間や食道を通る感覚がハッキリとわかる。ゆっくり、ゆっくり全身を食べていった。全身食べ終わる頃には私の身体中から黄色いエネルギーが出ていた。私の末端の指先足先まで届いた感じがした。満たされている。
<W><H>
うんうん
<N>
私は、「大好き」がほしかった。一体感が欲しかった。愛情が欲しかった。そして殺意がある。 大好きも殺意も同じエネルギーだ!
<W><H>
うんうん

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