あまりに辛い状況から免れる|疾病利得|セラピーの現場から(555)

セラピーの現場では「疾病利得」という言葉をかみしめるようなことがあります。心のトラブルがなかなか改善しない場合です。ついつい、心のトラブルから得る損得、トラブルの回復から得る損得などを、目(ま)の当たりにするかのような思いです。
心のトラブルがあると、充実した生き生きとした人生を送ることができません(損)。ひどい場合には社会適応がうまくできません。しかしトラブルの原因を見ていくと、そうならざるを得なかった事情が見えてきます。例えば人生早期の命に係わるような辛い状況です。あまりに辛い状況から目をそらして免れる(得:疾病利得)ためにそのようなトラブルになっているということです。
トラブルから回復するためには、本人がその原因を観て理解することが必要です。例えばセッションを受けることで、記憶の下に押し隠されていた人生早期の命に係わるような辛い状況を、思い出します。免れたかったその辛い状況を再度、通過して、通過の際に辛さを味わうことになります(損)。しかし、辛さを逃げずに味わうことで、記憶が戻り、自分を取り戻し、自分の本当の人生を送ることができできるようになります(得)。

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